今日は、入学式についての思い出を語ろう。
小学校の入学式は、家族にとって一大イベントだ。
何か月も前から、色々と買い物をして準備がある。
デパートに行って机といすやランドセルと草履袋を買ってもらった。
良く記憶がないが、机はスチール製で表面がピンクだったから、自分で選ばせてもらえたのだろう。
ランドセルは定番の赤で、ちょっと落ち着いた暗めの赤だった。
草履袋は、オレンジ色でベージュの縁取りに持ち手がつき、動物の絵が入ったアップリケがポイントになっていた。
筆箱・下敷き・鉛筆などこまごましたものは、近所の文房具屋に行って祖父が選んでくれた。
大きくなってから聞いたら、母は自分で選びたかったが遠慮したのだそうだ。
母は、入学式用の服を手作りしてくれた。
大人っぽいグレイッシュなスモーキーピンクの生地で、上下のアンサンプル。
上着はボタンのないボレロタイプで、下は吊りスカート、白いブラウスを合わせて、今考えてもとてもおしゃれなデザインだ。
お裁縫をする母のそばで、私は幸せな気持ちだった。
こうして着々と準備が整うにつれて、私の入学式への期待は高まっていった。
いよいよ入学式当日。
私は可愛いピンクの服を着て、うきうきとして出かけた。
小学校はかなり遠く、歩くのには時間がかかる。
道の角の所に一本大きな桜が花をつけていた。
入学式の後、写真を撮ったり、先生や生徒の紹介をした。
ここで、重大なことを知った。
「これから毎日学校に通わなくてはいけない」
学校に行くのは入学式だけだと思っていた私には、大変なショックだった!
登校第2日は、白いセーターに赤いチェックの吊りスカートを着て、ランドセルをしょって出かけた。
あれから数十年・・・
毎日学校に、仕事に通った。
この初めの2日のことだけは良く覚えているが、そのあと続く毎日は全く記憶にない。