祖父と孫娘の楽しい毎日
今週のお題「おじいちゃん・おばあちゃん」
私が小さかったころ、祖父は近所に住んでいて、毎日のように家に遊びに来た。
家にいる怖い妻(祖母のことである)から逃れて、かわいい孫娘(私のことである)の子守をするのが楽しかったようだ。 私は4歳で幼稚園に入るまでは、一人で外に出たことがない箱入り娘で、遊び相手は祖父だけであった。
お家で遊び・学ぶ
家の中で、祖父は良く本を読んでいた。
私は、その横で、自分なりに塗り絵をしたり絵を描いたりして、芸術活動にいそしんだ。
絵を描くのは、たいてい包み紙や広告の裏だった。
あの頃からリサイクルをしてエコな生活だ。 描き終わった絵は、スクラップブックに保存してくれた。
ときには、一緒に積み木やおもちゃで遊んでくれた。
ひらがなの書いてある積み木で、ひらがなを一文字ずつ、言葉に関連させて教えてくれた。
「を」という平仮名は「をぢさん」の「を」と習った。
本当は、「おじさん」に「を」は使わないのだが、そう習ったのだから仕方がない。
習った字は、さっそく絵の中にも使ってみた。
一緒にお出かけ
近所にお散歩にも行った。
住宅地になる前の、緑の田んぼの風景が、妙に記憶に残っている。
1~2歳の頃だったと思う。
メトロはなく、「都電」が走っていた。
それに乗って、まっすぐな道路の上をどんどん進んでいき、遠ざかっていく景色を見るのは不思議な経験だった。
吉祥寺にある井の頭公園の池の白鳥や黒鳥を見ながら、砂利道を歩いたこともある。
雨が降ると赤い長靴を履いて舗装されていない道の水たまりを歩いた。
お気に入りのお店
一緒に食べるおやつを買いに、散歩がてらにお菓子屋にいくことが多かった。
良く買うお菓子は決まっていて、ラスク・黒飴・かりん糖・卵ボウロ・アンパンなどだった。
このお店は今でもやっていて、昔の店のご主人によく似た息子さんが、たい焼きを売ってくれる。 いや、年齢を考えてみたらあのご主人のお孫さんかもしれない。
数少ない外食は特別なイベントだった。
初めてのおそば屋さんで、盛りそばを食べたこと。
そして、ホットケーキを食べた不二家レストラン。
幼稚園デビュー
ある日、祖父は私を連れて近所の幼稚園巡りをした。
行く先々で子供たちが玄関まで見に集まってきた。
そんなに多くの子供たちをまとめてみることはなかったから、珍しく思った。
数軒回って、結局一番こじんまりとした幼稚園に行かせることに決めたようだ。
そんなわけで、箱入り娘の私は、世間の荒波にさらされることになったのだ。