和菓子のお店 伊勢屋の思い出
今週のお題 「好きなお店」
前回の記事を書いた後、思い出したお店がある。
「伊勢屋」という、良くある名前の和菓子屋である。 今は、もうない。
道に面して店の正面のガラスケースに、季節のお菓子が並べられ、お店の人に「これをいくつ、あれをいくつ」というように注文して、紙に包んでもらう。 奥では、どうやら職人さんがお菓子を制作しているようである。 店内には簡単なテーブルと椅子が並べられ、あんみつなどを食することもできる。 昭和の典型的な店構えである。
春になると、草餅と桜餅が並ぶ。 桃の節句には欠かせない。 黄色の衣を被ったきみしぐれが春らしい。イラストにあるような三色団子も可愛らしい。
初夏には、柏餅。 厚い緑の葉が豪快である。
夏には、水ようかんにくず桜が涼をさそう。 かき氷を店内で食べるのも楽しみだ。 店の前には、アイスボックスが設置される。 あずきバーやアイス最中が懐かしい。
秋には、栗ようかん、栗饅頭、栗鹿の子、お萩。
季節にかかわらず、みたらしと餡のお団子、饅頭、鹿の子、すあま、大福など。 お菓子のほかに、かんぴょう巻き、稲荷ずし、お赤飯も日替わりで提供されている。
小さいころ、母の買い物に良くついて行ったものだ。 和菓子好きの私のルーツともいえるお店である。
懐かしさとともに、あの美しい形と、ほのかな甘みを思い出す。